表層ABS点字ブロック
※公益社団法人 札幌市視覚障害者福祉協会 推薦
※NETIS登録(登録番号HK-210005-A):視覚障がい者誘導ブロック(樹脂カバー付)
【概要】
点字ブロックとは、視覚障がい者が足裏の触感覚で認識できるよう突起を表面に付け、視覚障がい者を安全に誘導するために地面や床面に敷設されるブロック(シート)製品。視覚障がい者の歩行安全の確保には突起の機能を維持することが絶対条件となる。しかし、従来品の現状は、寒冷地特有の厳しい環境条件や除排雪作業に対する抵抗性には限界があり、突起が削られたり磨耗等により突起の機能が低下している。また、ブロック表面の汚れや色あせにより視認性が低下し、弱視や色覚障がい者が識別しにくくなることがあった。
本製品は、点字ブロックとなる表層部分にガラス繊維を混入したABS 樹脂枠を用いて樹脂とコンクリートの一体成形構造としたことで、点字ブロックの突起形状維持が強化され、耐久性が向上し機能を長期間維持できる製品である。
【 特 徴 】
・従来品より、点字ブロックの突起部分の耐久性・耐摩耗性を向上。
・表面がABS樹脂枠で覆われているため、コンクリート特有の白華を阻止。
・点字ブロック表面の高い輝度を維持。
・側面に製品同士を嚙合わせる凹凸状のずれ止めピン及び溝を設けて、製品のめくれ上がりを防止。
・表面は滑りにくい表面加工を施し、歩行者の転倒を抑止。
【 従来品との比較 】
表層ABS点字ブロックと従来品(コンクリート製)の警告(点状)突起の耐久性を比較するため、冬季期間の除雪作業による突起の破損状況・破損数量などを調査し、施工6年経過後の比較。
①冬季期間の除雪作業による点字ブロックへの影響
対象現場に設置された全ての点字ブロック 警告(点状)に対して、何かしらの破損が確認された枚数の割合を調査。その結果、従来品は83.5%、ABS点字ブロックは88%となっており、6年経過時点でどちらも新設から約8割の枚数の点字ブロックは除雪作業の影響を受けていることがわかる。
②破損突起のうち感知不能となる割合
上記の破損した点字ブロックの突起部分に着目し、破損の状況を調査。その結果、何かしらの破損を受けた突起のうち、足の裏で感知不能となった突起の割合は、従来品が81%に対して、ABS点字ブロックは8%となった。つまり、施工6年経過で突起の耐久性に約10倍の改善が確認できた。
【 社内試験 】
■摩耗試験
・耐摩耗性の評価を行うにあたり、実環境を想定して摩耗(磨り減り)の減少に似た試験として、サンドブラスターを用いた評価を実施。
試験条件
研磨材 | トサメリーエキストラ♯80 |
吹付角 | 90° |
吹付距離 | 100mm |
吐出空気圧 | 0.6Mpa |
上記条件にて表層ABS点字ブロック、従来品(コンクリート製)を比較。
製 品 | 製品厚み | 吹付時間 | 摩耗深さ | 表層ABS点字ブロックを1とした場合 |
表層ABS点字ブロック | 30mm | 7.5min | 4.5mm | 1 |
従来品(コンクリート製) | 60mm | 7.5min | 28.5mm | 6.3倍 |
従来品(コンクリート製)
表層ABS点字ブロック
■打撃による衝撃試験(常温時)
・点字ブロックの点が欠け飛びやすいという困りごとに対し、衝撃による点模様の破損に対する有効性を明らかにするため、落球試験を実施。
試験条件
鉄球重量 | 1.8kg |
落球高さ | 1000mm |
試験の方法として、衝撃に最も弱いと思われる従来品(コンクリート製)にて、何回の落球で破壊するか、表層ABS点字ブロックがその破壊状況に酷似した状態まで何回要するかを計測。
上記条件にて表層ABS点字ブロック、従来品(コンクリート製)を比較。
製 品 | 回数 | 残りの突起高さ | 破壊までの回数 | 残りの突起高さ | 備 考 |
表層ABS点字ブロック | 1回 | 4.7mm | 10回 | 3.5mm | 中央がクレーター状に欠け飛んだところで試験終了 |
従来品(コンクリート製) | 1回 | 2.2mm | – | – | 1回の衝撃で骨材同士の結合が解け砂状に粉砕 |
従来品(コンクリート製)
衝撃 1回目
表層ABS点字ブロック
衝撃 1回目
衝撃10回目
■打撃による衝撃試験(低温時)
・点字ブロックの点が欠け飛びやすいという困りごとに対し、衝撃による点模様の破損に対する有効性を明らかにするため、寒冷地を想定して低温時の落球試験を実施。
試験条件
鉄球重量 | 1.8kg |
落球高さ | 1000mm |
雰囲気温度 | -20℃ |
※-20℃環境にて、使用機材や試験体を24時間養生し試験を実施。
試験の方法として、衝撃に最も弱いと思われる従来品(コンクリート製)にて、何回の落球で破壊するか、表層ABS点字ブロックがその破壊状況に酷似した状態まで何回要するかを計測。
上記条件にて表層ABS点字ブロック、従来品(コンクリート製)を比較。
製 品 | 温度 | 回数 | 残りの突起高さ | 破壊までの回数 | 残りの突起高さ | 備 考 |
表層ABS点字ブロック | -20℃ | 1回 | 4.7mm | 20回 | 4.3mm | 常温時の2倍の回数で試験終了。破壊せず |
従来品(コンクリート製) | -20℃ | 1回 | 2.2mm | – | – | 1回の衝撃で骨材同士の結合が解け砂状に粉砕 |
従来品(コンクリート製)
衝撃 1回目
表層ABS点字ブロック
衝撃20回目